ユミのフランス体験便り、レンヌから
異文化体験エッセイ:ユミのフランス生活

やっと始まったフランスのゴミ分別


これが空きビンの回収コンテナ。丸い投入口からビンを入れる。木材で出来ているので、街の風景にも自然に溶け込んでいる。

空きビン回収トラックにはクレーンが付いていて、コンテナ上部に付いている取っ手を引っ掛けて持ち上げると、このように底が開いて空きビンがトラックの荷台に落ちる仕組みになっている。ただし、このとき近くを通り掛るとものすごい音がする。

レンヌ市では、2003年に郊外の地区で分別ゴミの回収が始まり、私の住む中心街でも今年の5月からやっとスタートすることになった。対象となるのは、新聞、雑誌、紙の梱包箱、アルミ容器、缶、ペットボトルや洗剤などのプラスチック容器、飲み物の紙パック等。ワイン、ビールなどの空きビンの回収は、もう既に数年前から始まっており、地区毎に設置されている回収コンテナの方に入れる。これまでは、空きビンの他に新聞・雑誌などの紙類が週に一度回収されていただけで、その他のゴミは分別されず全て同じゴミ容器に入れられていた。

日本にいた時には、様々な種類のゴミをきちんと分別して捨てることが習慣になっていたので、フランスに来てから再生可能なゴミを、生ゴミなどと一緒に捨ててしまうことがいつも気になっていた。そこで私に出来る範囲でゴミを分別して捨てるように心掛けていた:まず燃えないゴミは、焼却前に大まかに取り除かれていると聞いたことがあるので、とりあえず燃えるゴミと分けて捨てる。フランスでは職場にミネラル・ウォーターを持って来る人が多いため、私の勤務先ではペットボトルの回収を行っていた。そこで空になったペットボトルはこちらへ持って行く。そしてレンヌ市の郊外で分別ゴミの回収が始まると、対象となるゴミをまとめて取っておいて、その地域まで捨てに行っていた。

そしてようやくレンヌの中心街でも分別ゴミの回収が始まることになり、私はやっとゴミを持ち歩く生活から解放されたのだった。その1ヶ月前になると、お揃いの赤いパーカーを着たキャンペーンガールたちが、各家庭を訪問してルール説明を行った。私のところにも鼻ピアスを付けたお姉さんがやって来て「いいですか?わかりましたか?」と諭すように言うので、まるでお説教を聞いているみたいだった。日本ではず〜っと昔からやってますから・・・と言いたくなったけれど、口を挟むと睨まれそうなので、素直に話を聞くことにした。そして説明が終わり、住民リストにサインすると、分別ゴミを取っておくための手提げ袋とガイドブックを手渡してくれた。

市役所から配布された、分別ゴミを取っておくための手提げ袋とガイドブック。LE TRI SELECTIF(ル・トリ・セレクティフ)で「分別」という意味。このアリのマークは、回収トラックにも描かれている。キャンペーンガールたちが着ていた赤いパーカーといい、パンフレットといい、色とデザインのコンセプトを大切にするところがフランスらしい。

回収日に歩道の上に出された分別ゴミの容器。レンヌ市では、分別ゴミは黄色いフタの容器に入れる(一般ゴミ用の容器はグリーン)。容器にはキャスターが付いているので、運搬性にも優れている。



これがルクレールが提案した繰り返し使える買い物袋。自然の要素である「L’air(レール=空気)」、「L’eau(ロー=水)」、「La terre(ラ・テール=土)」の3種類のデザインがある。キャンペーン開始当初は無料でもらえたが、今では有料となった(0.15ユーロ)。ただし、使い古した袋を持って行くと無料で交換してもらえる。

私の住むアパートにはダストシュートがあり、上階から捨てられたゴミは、地下に設置された大きなゴミ容器に入るようになっている。投入口の側には「ダストシュートに入らないゴミは地下室まで持って降りて下さい」という貼り紙がしてあるのにもかかわらず、時々大きなピザの箱やダンボール箱が置き去りにされていることがある。まあこういうことをする人達は、ゴミの分別も多分しないのでしょうね・・・というのも、分別ゴミ用のダストシュートはないので、わざわざ地下にあるゴミ収集室まで持って降りなくてはいけないからだ。

さてフランス人のゴミ分別意識はいかに・・・と思っていたが、いつも地下へ捨てに行くと、大型の分別ゴミ容器が一杯になっている。皆きちんと協力しているようだ。ただし分別と言っても、ゴミを細かく種類別に分ける必要はないし、曜日が指定されている訳でもないので、取っておいたゴミをこの専用回収容器の中にバラバラな状態で入れるだけ。あとは週2回の回収日に、アパートの管理会社に雇われたお兄さんが道路脇に容器を出してくれる。説明にやって来たピアス嬢によると、ゴミ処理センターのベルトコンベアの上で、最終的に人手で仕分けしているのだそうだ。だから箱類は取りやすいように決して折り畳んではいけません!と叱られ・・・じゃなくて、アドバイスしてくれた。折り畳まないとかさ張ってしまうじゃないの?と言おうと思ったけれどやめておいた。

最近フランスでも環境保護意識が高まり、特にスーパーのビニール袋が山や海に捨てられることが問題となっている。そこで大手スーパーマーケット(フランスではSUPERよりも大規模なという意味で、HYPERMARCHE = イペールマルシェと呼ばれている)のルクレールやカルフールなどでは、繰り返し使用できる大きな袋を安く提供している。特にルクレールでは、従来の小さな袋を廃止してしまった。これはスーパーの袋を生ゴミ入れとして再利用している私にとってはちょっと不便。市販の厚手のゴミ袋は焼却すると有毒ガスがより多く発生しそうだし、第一大き過ぎてダストシュートに入らない、などと言い訳しながら今のところ他のスーパーの袋を使っている。何か良い方法を考えなくては・・・

この分別ゴミとはまた別に、有毒ゴミの回収は既に数年前から始まっていた。洗剤、化粧品、化学薬品、電池などは、カンガルーのイラストがついた回収車が週に一度地域の指定された場所にやって来るので、そこへ持って行く。粗大ゴミの場合は自分でゴミ処理場まで持って行くか、市役所に電話をして取りに来てもらう。それから使い残ったり、有効期限が過ぎた医薬品は、まとめて袋に入れて薬局へ持って行くと処分してもらえる。ただし薬はバラバラにせず、必ず元の箱に入れて戻さなければならない。

このようにレンヌ市で開始されたゴミの分別は、日本に比べるとまだ初歩的な段階といえるが、感心する点も幾つかある:
まず第一に、ゴミ回収に必要な容器は市民が準備するのではなく、市役所から支給されること。分別ゴミ用のものは、写真のように黄色いフタの付きのグレーの容器で、外観もすっきりしているし、密閉性にも優れている。しかもキャスター付きなので、無理なく移動することができる。

そして第二に、ゴミの回収作業が合理的に行われていること。容器は集合住宅の世帯数によりサイズが異なるが、全て回収トラックにフィットする構造になっているので、作業者がキャスター付きの容器を押して行ってトラックの後部にセットすると、容器が自動的に持ち上げられて、ゴミがトラックの内部に取り込まれるようになっている。また写真のキャプションで説明した空きビン回収コンテナも、クレーンを操作するだけで回収作業が完了する。日本では、ゴミ袋を一つ一つ回収車に投げ入れなければならないので、作業者に掛かる負担が大きいのではないかと思う。

フランスでも環境保護意識が高まって来たことは、とても良いことだと思う。大西洋や地中海沿岸に大量に浮遊していると言われるスーパーのビニール袋は、イルカなどの海洋ほ乳類がクラゲと間違えて飲み込んでしまう危険があるし、分解されるまでに450年も掛かるのだそうだ。これ以上環境汚染が進まないように、私もゴミの分別に協力し、今後はプラスチック容器に入った食品などはなるべく買わないようにしようと思っている。

ブルターニュ南部の大西洋沿いの海岸。一見美しい海も、相次ぐ重油の流出事故や廃棄物によって以外と汚染が進んでいる。

2004年9月
index
mail to: postq@ebunqa.com
Copyright 2001-2004 eBUNQA.com. All rights reserved.